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プロジェクトストーリー
All Japan Project~日の丸鉱山~

日本資本100%の海外大型鉱山開発案件

2014年7月30日、南米チリの首都・サンティアゴで、日本とチリ両国の政府関係者や鉱山関係者500名以上が集う盛大な開山式が催された。日本政府からは、安倍晋三内閣総理大臣も出席し「日本とチリの経済発展に大いに貢献すると確信している」とスピーチするなど、この「開山式」は、民間企業の単なる「イベント」としてではなく、日本の外交、国益において重要な意味を持つプロジェクトであることを内外に印象付けるものとなった。
これこそが、「カセロネス・プロジェクト」。日本資本100%による海外大型銅鉱山開発案件である。このカセロネス銅鉱山がフル稼働となれば、年間約15万トンの銅精鉱(銅地金の原料)と3万トンの銅地金を生産できる。これによりJX金属と三井金属鉱業の共同出資による事業会社・パンパシフィック・カッパー(以下PPC)が国内製錬所で1年間の銅地金生産に必要とする銅精鉱の約 2割~3割を供給でき、これは日本が輸入する銅精鉱の約1割に相当する。日本の鉱物資源の安定供給に資するために動き出した「カセロネス・プロジェクト」とは、どのようなものか、時系列を追って説明しよう。

海外に自分の鉱山を持つ。「カセロネス・プロジェクト」は、悲願だった

かつては多くの銅鉱山が日本国内にあり、そこで採取された鉱石を処理するために製錬所が建設され、鉱山と製錬所が垂直統合されたビジネスモデルが出来上がった。しかし鉱量枯渇のため、国内銅鉱山はすべて閉山。現在のJX金属は銅精鉱の100%を輸入に頼っている。また、近年は資源ナショナリズムや国際的な資源獲得競争など、従来以上に不確定要素が増している。一方、世界の銅地金需要は、年間約2,000万トン。これは長期的に見ても拡大する見通しだ。欧米はもとより、近年では中国、東南アジアが牽引役となっている。さらに国内においても、震災復興需要や自動車、電機など製造業の需要も回復傾向にある。
このような状況の中、銅地金の安定供給のため、海外鉱山の権益獲得による銅精鉱の確保はJX金属の重要な経営課題であり、この「カセロネス・プロジェクト」は、まさに「悲願」であった。

「小さな贈り物」が予想を遥かに超えた「大きさ」に変貌

「カセロネス・プロジェクト」は、2006年にPPCがカセロネス銅鉱床の権益獲得に成功したことによりスタート。買収金額は、当時の為替レートで約163億円。買収の決め手となったのは、鉱床が地表に近くに存在することに加え、埋蔵量にポテンシャルがあることだった。結果として、その後に実施した予備調査では、実に当初予定の約2倍の鉱量を確認。買収当時の鉱床名は「レガリート」。これはスペイン語で「小さな贈り物」を意味している。名称は2007年に「大きな屋敷」を意味する現在の「カセロネス」に改められているが、「小さな贈り物」は、JX金属にとってかけがえのない財産として、大きく変貌を遂げていったのである。

資源確保に向けて官民一体となった開発。これこそが「All Japan Project」

予備調査に続く事業化調査の結果を踏まえ、2010年2月に開発の意思決定がなされた。この時点で、共同出資者に三井物産を迎え、日本初の「日の丸銅山」開発は、本格的に動き出した。2011年7月、開発資金として国内外の大手金融機関と合計14億ドルの融資契約を締結。日本の政府関係機関による資源確保のための金融支援制度を多面的に利用した。こうした官民一体となった全面的なバックアップは、JX金属の一プロジェクトにとどまらず、わが国の外交・国益に直結するものとして大きく期待されている証といえる。「カセロネス・プロジェクト」はまさに「All Japan Project」と呼ぶにふさわしいものとなった。

難題山積。関係者の粘り強さが道を拓いた

建設工事が本格的にスタート。だが、ここからの道のりは決して平坦ではなかった。チリ国内の建設作業員の不足、労務費や資機材価格の高騰、ストライキ、大雪、為替変動…。さまざまな要因がスケジュールの遅延と初期開発コストの増大を引き起こした。しかし関係者の幾多の苦労や努力により課題をひとつひとつ解決し、2013年3月に銅地金の生産を開始。続く2014年5月には銅精鉱の生産が始まり、その出荷第一船は、2014年7月末にチリから日本へと出航。冒頭に紹介した内閣総理大臣を迎えた「開山式」は「All Japan Project」への使命感を背負った現場関係者には、特に感慨深いものとなったのである。

収益への貢献のみならず、JX金属の成長のポテンシャルを拡大

2014年9月22日、大分県佐賀関製錬所には、大井社長をはじめJX金属関係者、さらには大分県関係者を含め約120名が集まっていた。7月にチリを出航した銅精鉱が日本に届いたことを記念し、「初荷式」が催されたのだ。カセロネス銅鉱山の生産量は、当初10年間で年間約18万トン、2040年までの長期にわたる生産を予定している。これが日本とチリの経済発展に大きく貢献することは間違いない。さらに大井社長は語る。
「JX金属は、1980年代からさまざまな銅鉱山開発プロジェクトに関わってきましたが、巨額の投資資金が必要であることから、なかなか過半数の権益を持って自らが操業を行うまでには至りませんでした。今回、JXグループの資金力を活かして、我々が主導できるプロジェクトが生まれた意義はとても大きいと思っています。収益面での貢献ももちろんありますが、それを上回る長期的なメリットが期待できます。すなわち、国内鉱山の閉山で資源開発の現場に直接立ち会える機会が減っているなか、生産設備の操業ノウハウはもとより、安全管理、環境対策、地域との折衝、現地での人材採用等、ここで得た知見は、将来に向けて大きな資産となります。従業員の育成と自信にもつながることでしょう。これによって、次のプロジェクトが構築しやすくなること、あるいは他社と組むにしても有利な立場でプロジェクトに参画できるなど、今後の更なる成長に向けたポテンシャルの拡大につながることが期待されます。」